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日本時間2016/6/24(英国6/23)に、EUに残るか離脱するかを問う国民投票が英国で行われ、離脱派が勝利しました。EU離脱の是非を問うこの一連の騒動は「Brexit(ブレグジット)」と呼ばれています。「Britain(英国)」と「exit(退出)」を掛け合わせた造語です。

で、そもそも何で英国はEUを離脱するとかしないとか言っているのでしょう?

端的に言えば次の通りです。

1. 英国がEUに加盟しているとデメリットが大きいと不満を持つ英国民が多くなった

2. キャメロン英国首相が率いる保守党の支持層には離脱派が多く、政府も無視できなくなり、国民投票をすることになった

3. 残留が多数派と言われていたが、いざ国民投票を実施すると離脱派が勝ってしまった

現在の英国では、ざっくりいうと下記の2点が特に国民の大きな不満を呼んでいました。
・英国への移民流入が多い
・EU加盟に対する経済的デメリットが大きい

英国への移民流入が多い

元々、EU域内の労働者の移動が容易になったことで、様々な国から英国への移民は増えていました。加えて、2015年頃から、シリア内戦の影響でEUに大量の難民が流入しています。
これによって、英国の人々、特に低所得層は、「英国人より賃金の安い移民が、英国人の職を奪っている!」と不満を募らせており、英国政府に移民をコントロールするように批判を強めていました。

元々英国は独立心が強く、歴史的にも欧州統合の動きに対して懐疑的です。英国はEU加盟国でありながら、通貨としてはユーロを使わずポンドを使うなど一定の独立性を保っています。英国はかつて、EEC(欧州経済共同体、EUの母体となった団体の1つ)に対抗してEFTA(欧州自由貿易連合、1960年設立)を結成・主導したこともありました。
そうした歴史的な背景も重なって、移民受け入れに神経質になっているようです。

EU加盟に対する経済的デメリットが大きい

そもそも、EU加盟国は原則GDPの1%をEUに拠出金として支払うことになっており、EU内でドイツに次ぐ大国である英国の負担は大きくなっています(英国は特別扱いされており他のEU加盟国よりも負担率は低いものの、それでも多額)。

さらに、EUでは財政力のある富裕国(英国、ドイツ、フランス等)と財政力の乏しい国(東欧、ギリシャ、スペイン、イタリア等)との間で格差が広がっており、富裕国が財務力の乏しい国を支える傾向が強くなってきています。

例えば、数年前にギリシャ危機が起きた際に富裕国が主導しギリシャに援助を行いましたが、そうした支援を負担することに反発が生まれているわけです。特に、現在もギリシャ以外にイタリア、スペイン、ポルトガル、その他東欧諸国などで財政不安が燻っており、さらなる経済危機や、その尻拭いをさせられるのではという不安は根強くあります。

今回のEU残留かEU離脱かを問う国民投票は、キャメロン首相が2015年3月の総選挙のマニフェストで「2017年までに実施する」と公約したものです。キャメロン英国首相が率いる保守党の支持層には離脱派が多く、政府も離脱派の声を無視できなくなっていたのです。ちなみにキャメロン首相は残留派と言われており、英国政府にとってはEU離脱派が勝利してしまったことは頭が痛い問題となりそうです。

4. 今回の投票結果に法的な拘束力はなく、英国のEU離脱が正式確定したわけではない。 ただ、英国はEU離脱に向けてEUと交渉していくことになる

5. EUを離脱し関税が掛かるようになれば、英国の貿易に与える影響は大きいとみられ、英国経済の悪化が懸念される

英国にとって最大の輸出先はEUで、実に英国の輸出額の40%を超えています(2015年)。
EU域内は関税がかかりませんので、これほど活発に貿易が行われてきたのです。
仮に英国がEUを離脱すれば、これまでゼロだったEU加盟国との関税は見直され、英国の貿易が縮小し、経済的には大きなマイナス(GDPの減少)を招くと推察されています。

今回の国民投票に関する法令(European Union Referendum Act2015)によれば「投票結果に法的な拘束力がない」そうなので、英国のEU離脱が正式確定したわけではありません。今後、英国政府がEUと交渉をしていくことになります。

但し、マーケットはEU離脱をメインシナリオとして織り込んでいくと思います。
英国の景気悪化をきっかけに、ポンドが売られ、株式も売られるということになれば、世界景気へと影響は波及すると考えられます。既に景気悪化を見越してか米債、円債、ドイツ債など主要国の債券が買われはじめているようです。

しかし、イタリア、スペイン、ポルトガル、ギリシャと問題含みの国々の債券は逆に売られています。これはBrexitの第2章を暗示しているかもしれません。
英国の国民投票の次にスペインの総選挙が、さらに2017年にはフランスの大統領選挙が予定されています。ドイツではメルケル首相の地位を脅かす”移民受け入れ拒否派”が台頭していますし、第2の英国が現れる可能性は十分に考えられるでしょう。

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