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7月27日、任天堂は「2016年4~6月期」の決算を発表し、この期間の業績が245億円の赤字であったことが明らかになりました。

簡潔には、

  • 売上高は619億6,900万円(前年同期比31.3%減)
  • 営業損益は51億3,400万円の赤字(前年同期は11億円の黒字)
  • 最終損益は245億3,400万円の赤字(同82億円の黒字)

となり、大幅な減収・赤字決算となりました。

ソフトもハードも売上が落ち、さらに円高が進んだことで為替差損が350億円も発生したことが響いたようです。任天堂は海外売上も高く、為替の影響をモロに受けるようですね。恐るべし円高…。

 

 

1. ポケモンGoの世界売上高は年1,800億円程度?

 

クラッシュオブクランズなどは、課金率が5~15%、ARPPUが2,000円程度。パズドラなどは、15~30%の課金率、ARPPUは5,000円程度と言われています。

ポケモンGoは初動4日間で約750万ユーザーがダウンロードし、14億円ほどの売上があったというニュースがありましたので、このままのペースで推移すると105億円の月商ペースということになります。

 

ARPPU - 1

 

多くの人がダウンロードするカジュアルゲームに近いほど課金率は低下します。月商105億円の水準が正しくて、かつ継続するならば、アクティブユーザーの10%程度の課金率を想定すると14,000円程度のARPPUとなり、これは恐ろしい課金ゲームになります。おそらく、報道の4日で売上14億円というのが高すぎるのか、750万DLという数字が低すぎるかのどちらかと思われます。

実際には、ポケモンGoの課金の仕組みはクラッシュオブクランズのモデルに近い時短要素なので、ARPPUが3,000円、課金率10%程度といったところに落ち着くのではないでしょうか。

 

ARPPU - 2

 

さて、日本市場で1,000万人のDAU、課金率10%、1人あたり月に3,000円課金する(ARPPDAU)、と想定すると、年商は360億円となります。

世界全体(日本以外):日本市場 = 4:1 程度なので、世界全体で日本と同じ規模の市場占有率とすると、日本含むグローバル全体での売上高は年1,800億円(DAUは日本を含む世界で5,000万人)と推測できます。これは世界ゲーム市場の約7%の占有率となります。

仮に、全世界でモバイル市場の1位になり、市場占有率が40%程度に達するとするならば、売上は約6倍の1.1兆円程度になります(どこまで伸びるかは今後のブームの行方を見る必要があります)。

 

Sales

 

2. Nianticは任天堂に連結されず、任天堂はポケモンGoで40億円程度しか利益が増えないい

 

ポケモンGoの売上高は、

  1. GoogleやAppleへの手数料料(アプリプラットフォーマー)
  2. Niantic(ポケモンGoの開発・販売当事者)
  3. 株式会社ポケモン(ポケモンのプロデュースやグッズ販売、グッズ専門店のポケモンセンターの経営をする会社でポケモンGoに開発協力)

で分けられます。任天堂はポケモンGoを直接作ったわけでも販売したわけでもないので、ポケモンGoの売上を直接もらえるわけではありません。

 

株主構成

 

任天堂は、株式会社ポケモンの株式の32%、Nianticの13%の株式しか保有していないようです。32%保有しているということは、会計上、株式会社ポケモンの利益(売上ではない)の32%が任天堂に帰属するということになります。

Nianticに対してはわずか13%しか保有していないので、会計上、任天堂はNianticの利益を任天堂に帰属させることはありません。つまり、Nianticが儲かっても、(Nianticと任天堂の間で何か別の契約があったり、Nianticが任天堂に対して配当でも出したりしない限り)任天堂には何も影響がないということになります。

ちなみに、Nianticと株式会社ポケモンの関係ですが、両社は協力してポケモンGoを開発しています。但し、どのように収益を分けるのかは明らかにされていません。

 

利益構造

 

さて、上記の通り、仮にポケモンGoの売上が1,800億円とすると、

  1. 30%(540億円)がGoogleおよびAppleに取られる
  2. 残り70%(1,260億円)のうち、Nianticと株式会社ポケモンが仮に50:50で分けるとすると、株式会社ポケモンは630億円の取り分となる
  3. 株式会社ポケモンの税後利益率を仮に20%※とし、これをポケモンGoに適用するならば、ポケモンGoの利益は126億円となる
  4. 任天堂には、126億円のうち32%分だけ帰属する = 40億円くらい任天堂の利益アップ
  5. 任天堂はNianticから(多分)何ももらえない

※ 株式会社ポケモンはポケモンのプロデュースやグッズ販売、グッズ専門店のポケモンセンターの経営をする会社なので、当然売上からコスト・税金を差し引く必要があります

ということで、任天堂はポケモンGoから年間40億円くらいしか利益を得られない可能性が高いことになります

仮にポケモンGoがブーストしつづけて、全世界の売上高が1兆円に達したとしても、40億円×約6倍 =240億円程度しか利益貢献しないことになります。

その他、

  • Nianticが大盤振る舞いして任天堂に配当を出すとか
  • 実はNianticと株式会社ポケモンの取り分が50:50ではなく、株式会社ポケモンにもっと有利とか
  • 株式会社ポケモンの利益率が非常に高いとか

といったことがあったとしても、任天堂の利益をものすごく大幅に押し上げるという構造ではないようです。

なお、任天堂は「ポケモンGoは任天堂の業績にあまり影響ないからね」というリリースを出していますが、このリリースからも、「マーケットの期待を鎮める必要があるくらい、実体と期待が乖離している」ということが透けて見えます。
 

3. 任天堂を見る上では、むしろ為替レートの方が重要

 

任天堂は円高が進んだために為替差損が350億円も発生したそうです

ポケモンGoが売上1兆円クラスの伝説的ゲームになったとしても、任天堂にとっては為替レートの変動によって生じるマイナスすら埋めることもできないかもしれません。

ちなみに任天堂は
・元々は1ドル=120円の想定
・想定為替レートを1ドル=115円に変更
・1ドル=110円に変更
と変更しています。たった5円、10円の為替レートの変動が、ポケモンGoよりも業績へのインパクトが大きいかもしれないという事実。グローバルにビジネスを展開している企業にとって、何より気を付けなければならないのは為替レートと言えるかもしれません。

 

 

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※文中に提示した計算式は推測の上に成り立っていますので、正確性を保証するものではありません。
※本文に含まれる情報は、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。

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