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ここ1年ぐらいテレビ・新聞でイスラム国(以下「IS」と表記)を目にする機会が多くなりました。でもみなさんの中には「ISて何?いつできたの?」や「テレビ・新聞だけでは背景が分からない」という方も多いのでは?今回はそうした疑問にお答えします。

1.3分で分かる!イスラム教の基礎知識

ISの前にまずばイスラム教のごく基本的な事柄についてお話しましょう。イスラム教には大きく分けて2つ宗派があります。一つはスンニ派、もう一つはシーア派です。比率でいいますと、スンニ派がイスラム教全体の9割を占めています。大きな違いは誰を指導者とみなすかにあります。
イスラム教は預言者ムハンマド(日本では「マホメット」とも。ここではムハンマドに統一)の死後、カリフ(預言者の後継者という意味)がその指導に当たりました。スンニ派はムハンマド死後の4人のカリフ全員をいずれも正統なカリフとしていますが、シーア派は4代目カリフのアリーとその子孫のみとしています。なぜシーア派がアリーとその子孫のみと限定しているかといいますと、アリーがマホメットのいとこに当たるからです。つまりシーア派は血筋を重視しているといえるでしょう。他にも2つの宗派の違い(スンニ派は偶像崇拝禁止、シーア派はさほど厳しくないなど)はありますが、まずは誰を指導者とみなすかの違いについて押さえてもらえればと思います。

 

2. イラク戦争がISを誕生させた?

誤解していただきたくないのですが、2つの宗派=対立というわけでは必ずしもありません。民間レベルでは2つの宗派のカップルが結婚することもあります。ただし国レベルでは宗派の違いが対立を引き起こしてきたことも事実なのです。
イラク戦争前のイラクではスンニ派のサダム・フセイン元大統領がシーアの国民に対して弾圧を加えていました。その一方で同じスンニ派の人間を政府の要職に就けていたのです。しかし2003年3月に「大量破壊兵器」があるとして米英がイラクへ軍事介入を行い、フセイン政権を倒すと今度はシーア派を中心とした政権が誕生しました。結局大量破壊兵器が無かったことはみなさんもご存じの通りです。ともあれ「これでイラクも安定・・・」と思いきや、今度は新政権がスンニ派を抑圧するようになりました。まさに「歴史は繰り返す」ですね。こうした宗派対立がきっかけでイラクはテロが頻発し、内戦状態になります。(図参照)

3. こうしてISは誕生した

そうしたイラクの混乱状態につけこんで勢力を拡大してきたのがISです。ISは2001年の米同時多発テロを起こした国際テロ組織「アルカイダ」から分離したスンニ派が主体の組織です。ISはイラク新政権下で冷遇された軍隊出身の人材(フセイン政権下で働いていた)を吸収し、油田や空港など国の重要な施設を制圧。北アフリカのシリア内戦も重なって、2014年6月にシリアとイラクにまたがる「イスラム国」の建国を宣言します。イラク戦争がISを生み出した原因の一つといえますね。
ISがアルカイダと異なる点はシーア派に強い敵対心があること、誘拐に伴う身代金以外に原油生産という資金源があること、また明確な指揮系統があることの3点です。特にISはインターネットからの情報戦略に優れており、日々新しい賛同者を募っているのです。その結果起きたのが1年前のパリ同時多発テロでした。そして今もシリア・イラクでは内戦状態が続いています。

 

4. 終わりに

いかがでしたでしょうか?今回ご説明した予備知識があればIS関連のニュースもまた違った形で見えると思います。仮にISが解体しても、イラクのような宗派対立が起これば、第2・第3のISが誕生する可能性は十分あります。これをきっかけに関心をお持ちいただければ幸いです。

 

 

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