相続協議はいつから始める?四十九日と10ヶ月ルール(FPが受ける相談あるある①)

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ファイナンシャルプランナーをしている株式会社FP-MYS代表 工藤崇です。この度、News Vestaにて相続や不動産についてコラムを書くことになりました。つい後回しにしてしまう家庭内のお金の悩みにスッキリとお答えしていきます。


 

相続は、分割協議書を税務署に提出するまでが一連の流れです。被相続人が死亡してから10カ月以内に作成し、その内容にともなって申告と納税をしなければなりません。10カ月はとてもタイトなスケジュールであるにも関わらず、相続の相談を受けると「10カ月もあれば十分」という意識の人がとても多いことに気がつきます。

 

1、相続と四十九日の習慣

実際、相続を経験した人からは、故人が亡くなってからすんなりと相続協議を始められなかった、という声を聞きます。その理由は、四十九日の習慣です。

 

仏教の考え方によると、亡くなってから四十九日後に「次に生まれ変わる場所が決まる」といわれていました。それまでは俗世にもとづいた手続きをすべきではないと。もちろん、仏滅に祝事をしないなどの慣習と同じく、今では気にしない人も増えてはいます。しかし、四十九日は待たずとも、故人が三途の川を渡り切る初七日(故人が亡くなってから7日)について故人の所有していた土地や建物の名義変更を控えたいという希望はよく聞きます。

 

これら仏教の考え方は、故人を送り出すうえでとても大切な習慣です。ただ、故人が亡くなってから数カ月のあいだには、以下のような時間制限のある手続きも迫ります。

相続手続きの内容 期限
遺言書の確認 3カ月以内
法定相続人の確定 3カ月以内
限定承認・相続放棄の手続き 3カ月以内
所得税の準確定申告 4カ月以内

 

 

このなかで特に大切なのは太字にした、限定承認と相続放棄の手続きです。相続する資産はプラスの資産ばかりではなく、借入金などマイナスの資産も含みます。マイナスの資産を引き継がないと家庭裁判所に意思表明をすることが相続放棄です。さらにマイナスの資産があるのは分かっているものの、それを相殺するプラスの資産があるかどうかわからない、というときに「相続するプラスの資産の範囲でマイナスの資産を引き継ぐ」という意思表明を限定承認といいます。両者の期限である3カ月という期限を知らず、親の借金を引き継いでしまうこともいまだに多いです。

 

これら対照的な日本に伝わる習慣と、法律にもとづく相続の手続き。どちらも大切です。これらはどのように共存するといいのでしょうか。

 

2、四十九日に「配慮」し、可能な部分の手続きを進める

 

大切なのは四十九日に、更に正確にいえば四十九日などの考え方をする人への「尊重」です。相続は相続人ひとりで出来るものではありません。親族でまとまらなければ、(相続人全員の同意が必要である)遺産分割協議書を作成することもできません。親族のひとりでも「四十九日のうちは相続手続きを進めるのを控えたい」と思っている親族において、「相続は時間がないんだ!」と誰かが無理強いに手続きを進めたところで、円滑な相続にならないことは目に見えています。

 

そこでお勧めしたいのは四十九日に「配慮」し、可能な部分の手続きを進めるという考え方です。実際の手続きには進まなくとも、関係書類の収集や相続人それぞれの意向確認、土地や建物など不動産の権利証や加入中の終身保険の状況など、手続きを円滑に進めるにあたって可能な部分の準備を進めるようにしましょう。

 

四十九日が終わると、相続は分割協議書の作成に向けて進みます。生前から税理士とのあいだで家庭の情報を共有していると問題ないのですが、故人が死亡してから税理士に相談したとなると税理士も家庭の情報を把握するのに一定の時間がかかります。

 

実際に相続が発生してから「思ったより相続は時間がない」と実感しても仕方がないもの。相続は10カ月「も」あるのではなく、10カ月「しか」ないこと意識して、早め早めに動いていきましょう。

 

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