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2016年7月19日、「東証マザーズ指数先物」が上場します。国内の新興市場を対象とする上場先物商品としては国内初で、注目されている商品です。本サイトでは、東証マザーズ指数先物取引の概要を分析し、その魅力を紹介します。

1. 東証マザーズ指数先物の概要

東証マザーズ指数先物とは

東証マザーズ指数とは何か?その先物が出るというのはどういうことか?まずは、「東証マザーズ指数および東証マザーズ指数先物の概要」を見て、どのようなものか知ってみてください。

 

東証マザーズ指数先物お役立ちサイト

東証マザーズ指数先物について詳しく知りたい方や、先物(デリバティブ)取引の基本を知りたい方は、下記のリンクをご参考ください。

 

2. 東証マザーズ指数先物で取引を考えてみる(2016年6月13日)

個人投資家向けマザーズ先物活用術

長らく個人投資家にとって先物とは、いわゆる投機的な売買の一つに過ぎず、デリバティブを駆使した取引が市場を席巻する中でその波にのまれてしまうのが関の山というケースが多かったのではないでしょうか。その背景には、プロが裁定取引と言う手法を駆使し、リスクを限定しながら巨額の資金を動かせるのに対し、資金量で劣る個人投資家は、リスクをコントロールする手法などとは無縁であったことが挙げられるでしょう。

ところが、意外に思われるかもしれませんが、今回、マザーズ先物が上場されることで、一気に個人投資家にも、プロが行う手法と遜色ない、リスクコントロールのやり方が普及していくことになる可能性があります(もちろん、それなりの準備が必要です)。

これから個人投資家でも実践可能な、プロ仕様の先物取引手法を簡単に紹介いたします。

なお、ここで紹介した記事のデータは、下記で一部公開しています。著作権は株式会社Good Moneygerにあります。各自の責任でご利用ください。

 

2-1. β値を計算する

既に概要が発表されている通り、1枚当たり、マザーズ指数の1,000倍の価値、仕組みとしては、他の先物と同じくSQ方式です。

マザーズ指数先物が上場したことで、全マザーズ銘柄に対してヘッジ売りが掛けられるようになりました。やり方はシンプルで、保有する銘柄の株価とマザーズ指数をダウンロードし(まずは過去3カ月程度で良いでしょう)、β値を計算します(エクセルではLINESTという関数で計算できます)。

例えば、2016年6月3日までの過去3ヶ月でそーせい(4565)のβは約2ほどになりますので、最低単位100株に対してヘッジを掛けようとすれば、そーせいをマザーズ先物でヘッジしようとすれば、先物を4枚分売り建てれば良いことになります。

21,060円(6月3日そーせい株価)×100(単位株)×2(β値)÷1,020,800(6月3日マザーズ先物1枚分の価値)≒4(枚)

しかしこれはまだ個別銘柄での対応であって、まだプロが行うような裁定取引のレベルではありません。

 

2-2. マザーズ指数を確認する

裁定取引まで発展させる上で問題となるのが、先物の対象となる東証マザーズ指数の中身です。この指数はTOPIXと同じく浮動株調整時価総額加重型を採用しており、この浮動株調整の内容が公開されていません。しかし、直近の浮動株調整済時価総額上位10銘柄と、実際の時価総額を比較すれば、浮動株比率が算定できます。これで一気に個人投資家にもチャンスが生まれることになります。

 

2-3. 上位40銘柄でマザーズ指数はカバーできる

新興市場は時価総額の銘柄間格差が大きくなっています。東証マザーズ指数で言えば、時価総額上位40銘柄で全体の約3分の2をカバーすることが出来ます。特に、昨今の現状では、そーせい(4565)など上位銘柄の時価総額が飛び抜けているために、上位10銘柄だけで全体の40%を占有しています(2016年5月現在)。

東証マザーズ:銘柄数と占有率(2016年5月23日)

実際、上位10銘柄、20銘柄、30銘柄、40銘柄、それぞれに加重平均型ポートフォリオを作成し、東証マザーズ指数と比較してみたところ、リターンに大きな差は見られませんでした。

 

2-4. 裁定取引を行う最小金額

少数の株で全体の動きが決まるというマザーズ市場の特性を活かせば、例えば上位10銘柄のみを扱うことで、個人でもプロのような現物買い・先物売りという裁定取引が出来ることになります。

問題は売買単位でしょうか。例えば上位10銘柄をざっと計算してみると、2016年6月3日時点の株価ベースでは、約16百万円で裁定取引が行えることになりました。これに対し、マザーズ指数先物は16枚の売り物になります。

なお、これは最小金額で作った、最も指数に近い形のポートフォリオですので、これに先物を売り建てても、さほど儲かりはしないでしょう。また値動きが激しく、頻繁に銘柄を入れ替えなければなりません。リスクを抑制しつつ、高いリターンを目指すためには、高い成長性を兼ね備えた銘柄を保有しつつ、マザーズ指数先物を売り建てることが、成功への第一歩となるでしょう。

 

2-5. リスクについて

最後に最大のリスクとなる点を紹介しておきます。それは最初のSQである9月第2週金曜日です。

マザーズ指数先物もSQ方式を採用していますので、当然のことながら限月交替が発生します。限月交代が進まなければ、裁定解消売りが発生します。この際、現物に十分な流動性があれば問題はありませんが、これが枯渇していた場合、多くの銘柄でストップ安が続出する可能性があります。現物を保有する個人投資家がこうした状況を逃れるには、早めに先物の売りをロールオーバーしておくか、SQの前に一旦ポジションを解消しておくことが賢明でしょう。

3. “MN倍率”を使った指数間アービトラージ

もう一つ見逃せないのが、マザーズ先物売り+日経平均先物買い(もしくはその反対)という、いわゆる”MN倍率”に着目した、指数間アービトラージです。NT倍率を使った日経平均先物とTOPIX先物の合成取引はおなじみでしょう。これと同じ要領でマザーズと日経を比べたものが”MN倍率”です。過去の推移を見てみると、NT倍率と比べ、MN倍率の動きはよりダイナミックです。

MN倍率

歴史的には2007年以降、MN倍率は14倍~25倍、と言う大きなレンジの中で動いてきました。しかしそれ以上に、ひとたびトレンドが始まれば、それが大きく長く続くことをチャートは示唆しています。現状ではマザーズ先物5枚に対して、日経平均先物3枚というのが均衡する組み合わせでしょうか。

 

4. データ集(ダウンロードできます)

下記のリンクをクリックしていただければ、ファイルをダウンロードすることができます。ご参考ください。

  1. β計算エクセルファイル(β計算マクロが組まれたエクセルです)
  2. マザーズの浮動株調整後時価総額上位銘柄(上位10位) – 2016年5月末時点
  3. マザーズの過去3ヶ月(2016/3/1~2016/5/31)の個別銘柄βおよびボラティリティ(TOP40)
  4. MN倍率チャート
  5. 先物のトリック – 元データ

 

 

岡崎良介
【監修】岡崎 良介

野村投信(現野村アセットマネジメント)、バンカーズトラスト(現ドイチェアセットマネジメント)等を経て、2012年に独立。 年金・投信・ヘッジファンドなどの運用に長く従事してきた経験を活かし、鋭い分析で市場を読み解く。テレビ・ラジオ番組、書籍執筆など幅広く活動

 

 

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